iOSDC2024にポスターセッションで参加したら想像以上に楽しめた

はじめに

iOSDC2024にポスターセッションで参加してました。内容としてはテストコードが実行時に結果が不安定になる原因を当てるクイズを作成展示し、想像以上に楽しく良い経験になりました。

クイズ出して何が楽しかったか雑に書いておくと、クイズに使うコードのメソッドなど知識が必要な問題にはなるべくしないようにしました。さらに私がその場にいる際、ヒントが必要であるなら参加してくれてる方がデバッグしているのに近い状況にするということをやってました。具体的にはコードを改変したりコメントアウトしてテスト結果がどうなるかを対話形式で結果を開示するというスタイルでやってみました。つまり、人間Xcodeとして私が参加してくれる方からの質問結果をフィードバックするので、それをヒントにしてもらってテストが不安定になる原因を当ててもらうというものをやってみたという感じです。

ポスターセッションとは何か

ポスターセッション初参加だったのですが、おじさんが壁際に座って壁に貼られた紙について解説する、というのが私のイメージでした。超楽っぽいですね。

次の写真の引用はiOSDCブログ ポスターセッションのプロポーザルを募集します からです。

とても和やか、こういうのをイメージしてました。実際は椅子がなくてとんでもなく脚が疲れたし、クイズは質問なんでもありかつ絶対に理解し納得してほしいので、時間無制限、めちゃくちゃ頭も疲れました。

そもそもポスターセッションを舐めていた

ポスターセッションはA4で10枚つくるだけなので、他のセッションに比べたらだいぶ楽なんですが、まあクイズになるとちょっと厄介度が高いぐらいかなというのが最初の印象でした。

厄介度がちょっと高いのは、前提として紙の制約上細かいことは書けなくて、しかし手元で動かして確認してほしいので省略はダメ、かつもちろん破綻もしてはだめです。ライブラリ使うのもなるべく避けたい。また、クイズの他の部分が気になりすぎたらダメでしょうからなるべく変な記法も避けました。

ただ、楽な点としては展示して終わりにできるから最悪リアルタイムに私による解説なくても、A4の紙で解説さえしっかりしてれば及第点となり、自分でもある程度納得できるものができるかなと思ってました。つまり、紙であるという制約さえクリアすれば楽かなという舐プで当日を迎えてました。

実際に会場に行ってみたら考えが変わった

私の後ろ側のポスターセッションで、yamaken 氏による 「年表で振り返るWWDC」、これはWWDCに いつから視聴しだしたかという参加型コンテンツをやっていて、自前でA0のポスター印刷してっており、彼はポスター前に来た人とずっとコミュニケーションするということを繰り返しやってました。

和やかではある..。

トークセッションと比較して活発なライブ感がある

普通のトークセッションは単方向で20分か40分だけ話して質問タイムと`Ask the speaker`で答えて終わりなんですが、彼のポスターセッションでは1対多のリアルタイムなディスカッションを開催中ずっとし続けられるという謎の狂気さを感じました。

たとえばスポンサーのブースでそれをやる意味はわかるんですよ。それが仕事だからやってて給料がもらえるから、その時間は仕事人としてのペルソナでやっていける。しかし彼はおそらく個人的にやってる。何かを広報してくることもなく、自身のSNSとかをアピールしてくることもない。フォローしてくださいと言ってくることもなく、(たぶん)相手の名札とかどうでもいい。おそらくなんかしらが楽しいからやっているように見えてました。

最終日にスポンサーセッションには行ったりしてないか彼に聞いてみたんですが、「スポンサーセッションは去年もみたし、その時間があったら自分のところにいたい」という主旨のことを回答され、本当にめちゃくちゃ影響を受けました。

自分もある程度はポスターセッションの前に居るようにした

影響を受けたので自分もポスターセッションに立ち、閲覧してくれる人に

  • 「これ何かわかりますか?」
  • 「不安定なテスト結果になる原因を探すクイズですが原因すぐにわかると思いますがどうです?」

のように質問をしながらクイズやってくれそうかを聞いてから、興味を持ってくれた人にクイズしてもらうことにしました。

ただ初日の最初だけに関しては、やり方が固まっていなかったので参加者の方が来てくれるとクイズのヒントをあまり出さず、自分がすぐに答えを解説してしまうというのをやってしまってはいました。

初日は人が来てくれるだけで嬉しいので、すぐに答え教えてしまってました。

何が私にとっておもしろいところなのか

やっていくうちに、これは真剣にまずはノーヒントで答えに辿り着いてほしいなという気持ちになりました。1問目とか2問目はかなり優しいのでそこでリズムやルールを掴んでもらってだんだんと難しい問題にトライして、次の3問目、4問目で即答してもらえるのが理想。

参加者にはわかってもらえると思いますが、そんなに終盤の問題も意地悪じゃなく単純に見落としてるので不安定になってるようにしました。ただそれでも難しい。

そしてノーヒントで答えられない場合、とにかく質問は答えるということを繰り返しました。それでも質問として言語化できない場合、違和感があるようなコードはあるか、という話に切り替えるようにました。その違和感として指摘されたコードを変更するとテスト結果はどうなるかという答えにすることで、参加者が人間Xcodeをさらに理解する、という仕組みにしました。人間Xcodeではブレークポイントを張ることもできるので、ブレークポイントを張ってどうなるかというのを伝えることで、不安定な時に何が起こっているのかが分かるようにというのも面白いところです。

知識を問うというよりは、コードを読む時にいつもXcodeを開いている時のように推理ができるか、なんでも質問をして良いというのは前提知識を意図せずもしくは意図して隠れていないか、というゲームができたんじゃないかと思ってます。

そもそも紙に書かれたコードだけをみてテストが不安定になる原因を突き止める、というのは難しいんですが、これは普段GitHub上でPull Requestをしている状態と似ている気がします。そういうときに参加者の方がどうやってデバッグするかみたいなのが面白いですね。

もしかしたら回答が単純に言語化できていない可能性もあるので、参加者の回答を引き出すというのもおもしろさがありました。

私自身が作成した問題について忘れていることもある

最初は自分が考えたクイズに対して記憶が薄れていて、私が回答を読まずに説明しているといまいちな回答説明だったりもしたんですが、参加者のzeero氏が回答を補足していただいたりしました。この方もはじめましてなのですがとっても感謝です。

そもそも私の考えとしては、クイズというのはクイズ作成者-回答者にとってフェアではないんですよね。クイズ作成者圧倒的に優位。そのためクイズ作成者のレベル感や回答によって参加者の気持ちを萎えさせてしまうこともあるので、私が雑にやってしまうとダメだなというのを感じもしました。

素直な参加者の方多かった

クイズに参加していただいて、嬉しい反応をいただけるととてもありがたかったです。素直にゲームを楽しんで参加されてるなーと思いました。

おそらくあなたが懸念するのは、「クイズ/謎解きというのはいくらでもツッコミどころはあるからそれを重箱突っ込まれたらどうすんの、こわい」というのはあるんじゃないですかね。でも参加者は基本的には温かく見守ってくれます。そういう前提があっての重箱のツッコミこそ楽しいものです。クイズは作成者が圧倒的に優位なので、ツッコミなんて受け入れるべきなんです。そういうものから逃げずに頭を全開に動かして、いいわけなんかをせず真摯に答える、間違いなら認めるなどをやっていると絶対にわかってくれるので、そういうのも楽しいと思います。

やってみてわかった課題

同時にいる人たちは1つの問題を解いてもらうようになってしまう

私が人間Xcodeになってるときというのは同時に複数問題を出せないので、複数の人が非同期でやってくると、「今来たあなたはまず1問目からやってください、私は3問目だけXcodeとなり質問を答えてます」というのはちょっと難しいです。集中は必要。

そのため解決策としては申し訳ないけど後から来た人も現在進んでいる問題、たとえば3問目をやってる人がいたらそれを一緒に考えてもらう、ということにしました。正直、全4問のクイズって少ないかなと思ってたんですが、4問だからよかった。これが10問くらいあったら後から来た人がいきなり10問目みたいな渋いことやることになってたかもしれません。

そもそも1問目、2問目はかなり簡単なんで、これは実際はどうでも良いかなと割り切ってはいました。

何をポスターしてるかというのを速攻でわかってもらえないともったいない

もちろん、ポスターの前にたっても興味ないというか反応がないという感じの人もいます。こちらが喋りかけても反応しない。おそらく自分の時間を費やすかどうかをこちらの問いかけに反応せずに自分の目でまず判断しようとしているのかなと勝手に感じました。そういう場合はあまり喋りかけず、どこを参加者が見てるかを追ってみると、結構視線がバラバラっとしている感じでした。1枚目を見て2枚目をみる、という感じではなく、1枚目の次に3枚目下に行ってしまったり、さらに下をみたり行ったり来たりしてしまっている感じ。

もう一度やり直せるなら、解決策としては視線誘導や数字を大きく書く、さらに一番最初の目立つところに「これはクイズですよ」ということをできるだけわかるようにする。っていう感じでしょうか。

おわりに

行ってみないとわかんないことあるね、っていう話でした。

次回移行、他の方にもポスターセッションを出す側でいろいろなやり方で工夫できる余地がある気がしますのでおすすめです。

最初はなぜこんな30分で考えたようなプロポーザルが受かってしまうのか、クイズ形式にしていくのめんどくさいなと感じましたが運営の皆さんと参加してもらった方々に感謝です。お疲れ様でした。